『黒木陽子の百人一首を斬る!』
(略して『陽子の百人斬り!』)
【第五十三回】

【原文】
なげきつつ獨りぬる夜のあくるまは
いかに久しきものとかはしる
[右大将道綱母(うだいしょうみちつなのはは)]

【読み】
(なげきつつひとりぬるよのあくるまは
 いかにひさしきものとかはしる)

【通釈】
あなたが訪ねてくれないことを嘆いて、ひとり寝する夜明けまでの間がどんなに長いものか、あなたはご存じでしょうか。

【斬り】
「こんばんは。高橋いずみです」

懐かしいなぁ。
NHK教育『まんがで読む古典』世代。私。
(解説:昔15年くらい前に、NHK教育で『まんがで読む古典』という番組があった。司会は清水みちこさんで、『更級日記』や『蜻蛉日記』といった古典をドラマ仕立てで紹介したり、登場人物にインタビューしたり、まぁ、そんな番組だったのです。当時『なんて素敵にジャパネスク』を読んだりして古文ッ子に憧れた私のまわりの友達は見ていたりした。解説の高橋いずみさんのモノマネ「こんばんは。高橋いずみですっ」が、友達との間だけで流行った。)

中学校のとき、百人一首からひとつ選んで感想文を書け、みたいな課題が出たのですが、(なんちゅう課題や)、私は当時テレビで見ていた『蜻蛉日記』の作者、道綱の母のこの歌を選んだのだった。

中学生が選ぶなよ。
家でご飯食べてテレビ見て宿題してる身分の女子が選ぶな選ぶな。
先生も困るわ。

とまあ、私と蜻蛉日記と道綱の母の思い出話はほうっておいて。

この歌ですが。
う〜ん。
このところ続いていた、男の恋いこがれる鬱陶しさから逃れられたと思ったら。
女の鬱陶しさだね!

鬱陶しい男はストーカーになり、
鬱陶しい女は幽霊になる。

そんな感じ。

「獨りぬる夜」の、「ぬ」があかんわ。(中学校の時も感想文で書いたけど)
爬虫類的な響きがある。エロもっさい感にあふれる。
エロい部分のダメな部分を抽出した感じ。

生ぬる〜い沼に髪の毛を長く広げた無表情な女がひとり
(ブラジャーの肩ひもがだらしなく垂れている)
「嘆きつつ〜独りで沼で寝る夜は〜
 どんなに長いか〜
 思い知るがいい〜
 ひとを〜呪わば〜穴ふたつ〜
 キヒヒヒヒ!
 ヒャヒャヒャヤ!」

ぎぇ〜!!
コワイコワイ。
こんなメールが来たら、こわいね。
「ぬ」的な女になりたくない!

30歳になっても、明るい女でいたいものです。

(現代語訳は、Webサイト小倉百人一首さん http://www.watarase.ne.jp/hyakunin/から引用しました。)
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