『黒木陽子の百人一首を斬る!』
(略して『陽子の百人斬り!』)

【第四十九回】

【原文】
御垣守衛士のたく火の夜はもえ
晝は消えつつ物をこそ思へ
[大中臣能宣朝臣(おおなかとみのよしのぶあそん)]

【読み】
(みかきもりえじのたくひのよるはもえひるはきえつつものをこそおもえ)

【通釈】
内裏の御門を守る衛士のかがり火が、夜は燃え盛って昼は消えているように、私のあなたを思う心は、夜は燃え上がって、昼には消え入るばかりに切なくなり、物思いに沈んでいる。

【斬り】
恋だの愛だの沈んどらんと、ちょっとは仕事しなはれ。

そんなぼやきも言いたくなります。
食傷気味とはこのことか。

なんか、ここ最近、男の恋の歌ばかりなんだよなぁ〜ん。
そして、私は恋ブームから遠ざかってるんだよなぁ〜ん。

いや!ブームとか言うてたらあかんよな。あかんあかん。頑張っていこう。あと一首で半分じゃないか!
(・・・ゲゲゲ。まだ半分あるの〜ん)
うわっ!この後もしばらく男恋の歌が続くやんかいさ。うわっひゃ〜ん。

そんな胃もたれ気味の私には、かなり重い歌だねこりゃ。
何てったって火やからね。

何を思って藤原定家はこの並び順にしたのかね。
中島みゆきの歌でいうたら
ーーーーーーーー
1曲目 やまねこ
2曲目 蒼い時代
3曲目 土用波
4曲目 かもめはかもめ
5曲目 アザミ嬢のララバイ
6曲目 捨てるほどの愛でいいから
7曲目 かもめの歌
ーーーーーーーーー
そんなアルバム。またかもめか!そんな感じ。
(いや、どちらも良い歌なんですよ)

さて、そんなぼやきはほどほどにして。
この歌ですが。

何でしょうか。
昼と夜を俯瞰的に見ちゃうなぁ。
時間を絵巻物のようにずらら〜っとなが〜く感じられません。
見開きの右側が夜、左側が昼のページな感じやね。

ーーーーーー
<夜>:ポッポー!!メラメラ!やらせろ〜!!ポッポー!

<昼>:ぷしゅぅ〜シュン・・・グスン。あ〜あ。逢いたいなぁめそめそ。
ーーーーーーー
<夜>:ポッポー!!

<昼>:めそめそ
ーーーーーーー
<夜>:ポッポー!!

<昼>:めそめそ
   :
   :

こんな感じ。ちょっと滑稽で笑ってしまう。まるで、『星の王子さま』のガス点灯夫の話しみたいに感じてしまいます。う〜ん、毎日そんなんで暮らされてたら困るわ。やっぱりちょっとは仕事しなはれ。と思いますね。

私が言うのも恐れおおいのですが。御垣守に例えたらあかんわ。
毎日というサイクルがちょっと短すぎてロマンチックさを消しとる!
いくら平安時代の貴族がのんびりしていそうでも・・・恋の炎が毎日点いたり消えたりはねえ。
どうなんでしょうか。

(現代語訳は、Webサイト小倉百人一首さん http://www.watarase.ne.jp/hyakunin/から引用しました。)

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