『黒木陽子の百人一首を斬る!』
(略して『陽子の百人斬り!』)
【第三十二回】

【原文】
山川に 風のかけたる 柵は
流れもあへぬ 紅葉なりけり
[春道列樹(はるみちのつらき)]

【読み】
(やまがわに かぜのかけたる しがらみは
ながれもあえぬ もみじなりけり)

【意味】
山道を行くと、川の急流に風がつくった柵(しがらみ)ができているようだ。
その柵とは、なんと流れにせきとめられた深紅の紅葉であったことよ。

【斬り!】
う〜ん。好き。
私、秋の歌が好きやな。

さて。最近、世界情勢を憂いているせいか(生意気。その前に自分をなんとかしろ。)、
この歌の情景をよんで思うのもやっぱりそんなこと。
人生生きてたら、色んな人とのしがらみや、やりとりや、なんやかんやで、キィィ〜!!もう、みんな仲良くしたらええやん!!いやん!好きも嫌いも無くなってしまえばいい!!と、なっちゃうけれど、
そんな人の世のしがらみこそが、人間活動そのものであって、それが、美しいんじゃないだろうか。っちゅうことです。

「仲良きことは美しきかな」

でもあり、

「喧嘩は江戸の華」

でもある。
そんな感じです。

しかし。
紅葉も、せき止められ過ぎて水が止まって一年経てば、腐ってデロンデロンになるように、
そのままそこに止まってたらあかんし、放っておいたらあかん。
腐るからね。
流れなあかんわ。恨みを発酵させて熟成させて、赤潮をよんだらあかん。
程よい堆肥は皆のためになるけれど、腐りすぎたら毒になる。

「日本代表は、そんなプレーを目指すべきだ。」
サラエヴォ出身のオシム監督は、そんな思いをこめて、この歌を口ずさんだという。

 嘘。
(オシム監督について、テレビで特集されている以上のことは知らんよ。)
なんか、思い出してん。オシム氏を。

せき止められた紅葉が、また、水の流れにほどかれて、
「からくれない」に水をくくっていく。(第17番参照)
そうでなくっちゃね!!
サッカーも人生も、世界もね!いさかいは仕方ないけど、戦争はダメダメ!(軽っ)

ところで。この歌の作者「春道列樹」から、ユニット美人「家庭科の女ふたり」男性役の名前を取っています。
が、昨年初演のときは、「男の名前が、姓名がわかりにくい」と、悪評ぷんぷんでした。
春道は、名字です。ご観劇の際は、お間違え無く。

(現代語訳は、Webサイト小倉百人一首 http://www.watarase.ne.jp/hyakunin/index.htmlから引用しました。)




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