『黒木陽子の百人一首を斬る!』
(略して『陽子の百人斬り!』)

第二十八回

山里は冬ぞ寂しさまさりける
人目も草もかれぬと思へば
【源 宗于朝臣】

(やまざとはふゆぞさびしさまさりける
ひとめもくさもかれぬとおもえば)

【解釈】
山の村の冬は一層さびしさがつよく感じられることであるよ。訪れてくる人もなくなり、周囲に生えている草もすっかり枯れはててしまったと思うと。

【斬り】
春夏秋は冬を待つ季節、と中島みゆきも歌っていますが…。
花が散れば寂しく、秋風も寂しく、冬はいっとう寂しいねってな感じか。しかもこの方、源という姓からもわかるとおり、皇族から臣籍に下った人です。しかもあんまり出世しなかったそうな。
皇族のままやったら、あるいは出世街道進んでいたら、もうちょっと華やかな冬だろうに…。訪ねる人もいない山里の冬というのは、なんだか身につまされる風景を呼ぶね。
冬のキリリとした寒さが平気、むしろ好き、というのは、そこに活気が見出だされるときだけやね。

そんな歌。
なんか、普通サラリーマンが定年後、お歳暮や年賀状の数ががっくり途絶えてしまった。
そんな感じ。

岸部一徳な感じ。
キンチョーのホームページで聞ける、岸部さんと大滝秀治さんのラジオドラマはおもしろい。

そんな感じです。

ところで私、来週ホール入りです。77年企画です。1977年生まれ以外の人も『この年代のやりそうなことだぜ』と斬ってみるのがオススメの楽しみ方です。是非是非。

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