『黒木陽子の百人一首を斬る!』
(略して『陽子の百人斬り!』)

【第七回】

天の原ふりさけみれば春日なる
三笠の山に出でし月かも
[阿部仲麿]

●読み
(あまのはらふりさけみればかすがなる
みかさのやまにいでしつきかも)

●意味
天を仰いではるか遠くを眺めれば、月が昇っている。あの月は
  奈良の春日にある、三笠山に昇っていたのと同じ月なのだなあ。

 さてこんにちは。8年来、お付き合いしてきた15インチのテレビデオがとうとう壊れてしまった黒木です。京都で一人暮らしを始めてきて、苦楽を共にして来ただけに、かなりがっかり気分です。
  一緒に舞台芸術見本市へ行ったり、予告ビデオを作っていた頃は、劇場に持って行ったり・・・公開練習をしていた頃は、野外に持ち出されたり・・・。数々の映画をこのテレビで見ました。
  しかし晩年は、ビデオの方の調子が悪く、今度はこっちが苦労させられました。取り出しボタンを押してもビデオが出てこない上に、5秒後に電源が切れてしまうのです。直し方は、30分くらい電源を付けたり消したりすること。突然、「ウィイ~ン」と復活の音が聞こえ、ビデオが飛び出してくる・・・その音を聞く度に「おぉ!治った!」と興奮したものです。

 けれどもう、あの楽しみも無くなってしまった・・・。何回電源を入れても、冷やしても、叩いても、どうやっても取り出せなくなってしまった上に、今までは聞こえなかった低いモーターの音が聞こえ出したのです。
そして、ビデオデッキの中には返却期限が2時間後に迫っている「フレンズ」のIIIー3巻が!修理に出し、延滞料も保険料も払うお金がなく、私は泣く泣く、コンセントを抜き、ドライバーを手に取って、テレビデオの解体を始めたのです。

 そう。壊れたというのは半分嘘で、決定的に使えなくしたのは私なのでございます・・・。

 深夜、ワンルームマンションで黙々とテレビデオを解体している女がひとり。
  うぉうう・・・もし、私が機械科を卒業していれば・・・もしくはそんな仲良しがいれば・・・と、これほど強く思ったことがあったでしょうか。私にできることと言えば、ねじをはずすことと、物理的にはずせそうなところからはずすことだけ。

「ははぁ、こうやって歯車が動いてるんだな・・・
  おお!こんなにデッキの中でテープがびろ~んと伸びていたのか!
  ・・・見るべき程のものは見つ!
  さらば、フナイのテレビデオよ!」

 さて本題。私は、この歌を聞くだびに、この時代の「通信」というものが、よく分からなくなります。
  阿部仲麿は中国・唐へ留学中。だけど、皇帝に気に入られた上、この交通未発達時代のこと、なかなか帰られない。やっとかえれるぞ!と思って別れの宴の際に歌ったのが、この歌。しかし、結局、日本海で遭難してしまい、中国に逆戻り。一生中国で暮らすことになるのだった・・・。
はい、ここでストップ!
でも、歌は日本に戻って来てるです、みなさん!
歌だけが、戻って来たんだね~。
本人は帰ってこられなかったのにね~。
残念だね~。

はぁ~。テレビデオ。テレビデオ。

さて次回は・・・
【第八番:我が庵はみやこのたつみ・・・】
  今回は、締め切りを忘れていた上に、私の中でテレビデオの故障が衝撃的過ぎまして・・・。反省。
  次回は、宇治の歌だね!がんばるぞ~。

(現代語訳は、「ちょっと差がつく百人一首ー小倉山荘web本店」さんから<http://www.ogurasansou.co.jp/hyakunin/hyakunin.html>引用しました。)

 ところで。紙本と私がやります、ユニット美人。
  昨日はダンスの練習をしました。是非見にいらして下さい~。


 

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