『黒木陽子の百人一首を斬る!』
(略して「陽子の百人斬り!」)

【第ニ回】

 春過ぎて夏来にけらし
  白妙の衣ほすてふ天の香具山
  [持統天皇]

●読み
(はるすぎてなつきにけらししろたえのころもほすちょうあまのかぐやま)

●意味
春が過ぎて夏が来たらしい。真っ白な衣が干してある。天の香具山に。

前回紹介しました、田中邦衛(天智天皇)の第ニ皇女。
今思い出したのだけれど、里中満智子先生の古代王朝ロマン漫画「天上の虹」の主人公だったわ。そういえば。
「天上の虹」では、頭の良いよくできた女の恨みつらみの結婚生活が描かれていた(ような気がする)が、書かれているテキストや事実以外の勝手なイメージを脚本にもちこむのは危険なので、却下。

この歌で、注目すべき言葉は、「白妙の衣、干すちょう」でしょう。やっぱり。 
<真っ白な衣が干してある・・・香具山に>だ。
そう。これはもう、洗濯洗剤のCM以外の何者でもありませんね。洗濯洗剤のキャッチコピーにいかがでしょうか。今すぐ使っていただいてかまいませんよ!(著作権も消えてるし)
<持統天皇ーさわやか主婦>のイメージが強くわき上がってきませんでしょうか?しかも、家からちょっと離れた山と洗濯物を結び付ける当たり、かなりぶっとんで健康的なイメージを押し出す女とみた。
また、結びのことばが、<天の香具山!>と、体言止めしているあたりなどは、力強いまでのさわやかさが。前回の邦衛の歌の結びが<露にぬれつつ・・・>と対比すると、よりわかりやすいんじゃないでしょうか。服が濡れる様子をぐずぐずと訴える邦衛に比べ、なんと力強くさわやかなことか。

ここまでの読みだと、上戸彩・・・はちょっと若すぎるから小林聡美か・・・?と、言いたいところだけれど、ちょっと待って欲しい。
<衣ほすてふ・・>この部分だ。特に<てふ>。発音は<衣ほすちょう>なんだけれど、ここは字面の<てふ>がやはり気になる。
・・・。ちょっともったりした感じ。さわやかで力強いが、ちょっともったりした貫禄が・・・。さわやかだけれどちょっとこもるタイプの女性といえば・・・。

そう。
十朱幸代さんだ!

ここは、大女優・十朱幸代さんのイメージで読むのが正解なのだ!
彼女は「女帝 春日の局」の前に「女帝 持統天皇」をやっていたのだ!

●イメージ
「春がすぎて、夏が来たみたいや。
衣が干してあるやろ。ほらッ。あそこや!
天の香具山!
はごろもフーヅ。」

・・・イメージを書いていて気が付いた。私は十朱幸代さんを、「極道の妻たち(II)」と、友近のモノマネ「はごろもフーヅ」でしか知らなかったね・・・。
でも好き。
あ、あと、紙もっちんの家から香具山は見えないそうです。

さて次回は・・・
【第三番:あしびきの山鳥の尾のしだり尾の・・・】
歌聖として和歌界のトップ、柿本人麻呂のこの歌を読み解きます。万葉ブーム(そういうブームがあったらしい。)の際は、ブーイングを受けまくったこの歌を、読み解きます!
今、取り組んでいますが、なかなか難しいッ!隙がない!

(現代語訳は、旺文社 古語辞典[改訂新版]から引用しました。)

 

 

 

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