「オレの話し」
オレは毎朝、車に乗って3時間ほど走る事にしている。
行き先は決めない。
行き先の決まった走りなど走りじゃないからだ。
それじゃ薬局におつかいに行かされる長男坊と変わらなくなってしまう。
ハッキリいっておこうか。
オレはおつかいに行くんじゃない、走りに行くんだ。
走るって言葉はいいかい? 言い換えれば「明日の自分を追いかける」って事なんだ。
…OK。
百歩ゆずって走りだとしよう。
走りだとしても、だ。
行き先のわかっている車は美しくない。
見ていてやはり緊張感がないんだ。油断してる、っていってもいい。どんなにスピードを出して走ってそいつを誤魔化そうとしたって駄目だ。
その醜さはどうしたって隠しようがない。
見えるんじゃない、匂ってくるんだ。
弛緩しきって走っている醜悪な車に走る価値などない、ないんだ!
…。
OK。
確かに、今のはもしかすると言い過ぎたのかもしれない。
だけど、オレに限って言えば行き先は今後も決めない、決めるつもりもない。
以上のこういったオレの走りから、走る姿勢から、図らずも、今オレがフリージャズだということがハッキリと証明されたと思う。
まぁ、確かに厳密に言えばオレはフリージャズじゃない。ご覧の通りオレは音楽じゃなく、人間だ。
ただ。
オレの人生に決められたリズムや展開などありはしない。
オレは瞬間、瞬間の真実を切り開き続けているんだ。それは美の魔的な運動と言い換えてもいいだろう。
そして、その一点でオレはフリージャズだといえる事ができる。
…、OK。
確かにオレの話しは少し抽象的すぎるのかも…、え……うん、…よし、じゃあわかったこうしよう、OKはもう言わない。うん…だね…だよね…そう、確かにまぁオレは日本人だから…いやだから言わないって、いやいやわかってるから。
ちょっ、痛いよ。
手を出すなよ手を!
痛いだろ!!
オレは確かに君たちより上の世代だけど、君たちの事はオレは理解してるつもりだ。うん、若い奴らはオレ大好きだ。
キモ…キモくない! なに言ってるんだ、オレはフリージャズだぞお前!
いい加減にしろ。
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